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詩集

捨ててしまいたくなる言葉…見つけ出したい言葉…色々あるけど…捨てられないんだよね…言葉って。

他人にとってどうのじゃなく、自分にとってどうかって考えると、媚びることなんかできないね。

苦しい思いや悲しい思いや、嬉しい思いや楽しい思い、そして美しいって思うのは自分の言葉で表現したいじゃない。

[六・二六事件]
無カラ生マレシ創世
胎内二宿ル創造
妄想カラ来ル光へノ困惑
純粋ナ感性ノ選択
思考ノ岩ガ水二流レ
砂トナリ消エ行ク
残サレタ五感ハ
刺激シ得ル物ヲ求ム…
来タレ!
暗闇ノ広大ナル視界ノ中二…

 

 

[輪廻実験]
音楽のやうな
絵画のやうな
書のやうな
写真のやうな
舞踏のやうな
演劇のやうな
映画のやうな
人生を送ったのか?
と問われれば
諸君は何と答えるだらう?
輪廻に秘められた遺伝作用は
忘れられた後の幻影とならう
感覚的作用を促す根元の「血」こそ
輪廻なのではないのか?え?諸君!
影響とはかみ砕かれ
ぶち壊される為にあり
消化され体内をめぐる血が
新たなる世界を成す「起源」となりうる
諸君の衣を剥がし
全裸にさせたら
何が残るだらうか?
諸君!充血し敏感になった感覚により
呼応する血を見出だせ!

 

 

[胎動畑 Ⅰ]
嗚呼、懐かしき原っぱよ! 子供の頃見た原っぱよ!空き家に廃車に成人雑誌、なぜか積まれた下水管

嗚呼、懐かしき原っぱよ! 子供の頃のたまり場よ!キャッチボールに車輪回し、ドロケイごっこに立ち小便

恨みつらみはそこになく、酸も甘いも培った

嗚呼、懐かしき原っぱよ!出店、見世物、今は消え、あっという間に欠陥屋敷の大森林

原っぱよ!原っぱよ!
嗚呼、原っぱよ!
原っぱに、伸び伸び咲いた植物達が、今、アスファルトに囲まれた、畑の下で笑ってる…暗闇の中で笑ってる…胎児のように笑ってる…
 

 

[胎動畑 Ⅱ]
胎盤の中の安らぎを
あの時私は退屈で
怖い夢さえ楽しんだ

胎盤の中の暗闇を
あの時私は恐ろしく
光を求めて苦しんだ

胎盤の中の静寂を
あの時私は不安がり
鼓動と声を求めてた

逆子の私は田舎町
畑の野菜のようにして
掘り出されてから
今もまだ求めてる

生き様たる生き様を
鋭敏なる感覚を
表現たる表現を
錦心繍口を

産んで下さいもう一度
その時が来たらもう一度
胎児の記憶が甦る
産んで下さいもう一度
その時が来たらもう一度
胎動畑で逢いましょう…
 


[箱根にて]
流水に
磨かれし その
岩肌は
和を知る為の
年月の禅

 

 

[想幻~so-gen~]
難解な風の遊戯
落ちゆく葉は空仰ぎ見る

壊れた時計に頼る
無機質な肉塊はうつむく

季節の配達人 風がくれる「時」
大量生産された 暗号で惑わす「時間」

同じ街の出来事…

 

 

[血縁]
理解されぬ
理解できぬと
家出する
荷物まとめる その夜に
押し入れ奥に見つけだす
木箱の中の 我がへその緒
切っても切れぬ
血縁を笑う

 

 

[世の常…]
ふと一人にされますと
春の始めの夜のように
急に冷えてくるのです

雑踏にまぎれていた
やわらかな風に
気づいてしまうのです

安らぎが孤独感と
共に宿っている
人の世の常

英語訳
【The way of the world】
When I am left alone incidentally
Almost the night of the beginning of spring
I get cold suddenly
I disappeared in a crowd
For gentle wind
I notice it
An ease with sense of isolation
I dwell together
The way of the world of a person

 

 

[曇り空の七夕]
「星が見えない」
なんて言わないで欲しい…
私には貴女が星だったのに…

「私は冷たい人」
なんて言わないで欲しい…
私には貴女が太陽だったのに…

「私はわがまま」
なんて言わないで欲しい…
私が貴女をわがままにさせたかった…

夕立が過ぎ行く頃
貴女に届く事を祈る

曇り空の七夕…

 

 

[事実と創作の世論]
それはゆるぎない存在。それが脳裏の創造動画。
そうであるなら、現代、パスカルは限りなく『理想主義』とやゆされてしまうだろうか…

それにゆすぶられる衝動。それにこたえる身体。

そうであるなら、現代、ハンニバルは限りなく『前衛芸術家』と評されてしまうだろうか…

ならば、私は…
笑われて、馬鹿にされ、陰でもの言われる、『名もなき人』でいる事を、しばし楽しもうではないか!

[青年の詩]
過ぎて行く
血と血をわけて
今日もまた
カラスが泣いている

腹立たしい
苛立ちを
ぶちまけたくて
でも柔らかい
布団をかけてもらいたくて

過ぎて行く
血と血をわけて
今日もまた
カラスが泣いている

やけくそに
やりたくて
叫んでいたくて
でも 届いているか
不安が募っていく

舞台の幕が
また今日も
生きてりゃあ
あがるだろう

舞台の上
声の限りに
叫べ

「ここにいるぜ」
「ここにいるぜ」
「ここにいるぜ」
「ここにいるぜ」

 

 

[枯れ魂]
枯れるまで咲け
暮れていく空
明日の願いを託す
流れ行く星
追いかけて走る
 

 

[絵空事]
正義感
正当論を
持ち出すも
己知らぬは
絵空事かな

 

 

[蚊帳]
夜になり
畳に布団を敷き
蚊帳に包まれ
見上げる豆電球
蚊帳の中
まるで球体の中だった
うっすら見える
蚊帳の外
まるでそこは宇宙だった

私は球体の中
安らいだ胎児であった
いつまでも胎児でいたかった
蚊帳をたたむ時
怒って泣いた
生まれたての赤子のように…

 

 

[花]
宵闇に
また新しき
花が咲く
色鮮やかに
清らかに咲く
 

 

[夜明け]
夜の闇が
再び訪れた
朝が来ること信じれば
夜は眠れるだろう

例え 目を失い
夜が明けなくても
朝日の温もりを
感じてほしい

その時が夜明け

 

 

[道程]
回り道
幾年月を
歩めども
何も変わらぬ
井の中の人

 

 

[欲しいもの]
新しい服
着替えても
私の心は
変わらない

時間気にして
争うならば
私は時計も
いりません

私はただ…
手をつなぐ為の…
あなたとただ…
会話する為の…
勇気が欲しい

 

 

[穏やかな]
ゆるやかな
穏やかな時
覚めやらぬ
紅色に化す
もみじ見つめて

 

 

[夢扉]
湯煙と
蝉時雨の中
夢扉
開く向こうに
人影あらず

 

 

[胡蝶の夢]
【左側の詩】
微かな鼓動が
聞こえましょうか

風の音と共に
闇に響き渡る鼓動

待ち焦がれし時
胎内で蘇生す

現し世にて


【右側の詩】
裏切る前に
自ら時を止めた

懐中時計の指針
不意に動き出す

一年の想像が
今 創造されゆく

夜の夢にて

 

 

[地下室~奇譚~]
亀毛兎角の地下の宴、鏡花水月の響き、今、奇譚と成りて…

[花の香りは好きですか?]
花の香りは
届きましたか?

本当に聴きたい
音楽は売られてなくて
ただ無機質な
言葉が垂れ流されて
表情のない
ただの文字が人を殺す

花の香りは
届きましたか?

本当に観たい
映画が上映されなくて
ただ気まぐれな
言葉にもてあそばれて
何度も何度も何度も
切りつけられていく

花の香りは
届きましたか?
そよぐ風は
心地良いですか?
流す涙は
ありますか?
花の香りは
届きましたか?
そして…
花の香りは
好きですか?

 

 

[白い吐息]
痛いほど
白い吐息に
真意見る
春まだ遠き
宵闇の友

 

 

[君何を見る]
退屈な
時を送った
激情の
澄み行く空は
眺めていたか

 


[君何想う]
憂鬱な空
急いで飛んでいく
鳥の群れ
夜はもうすぐやってくる

乳白色の畦道
霜柱を踏み鳴らす
登校児
朝がもうすぐやってくる

遠い夜明けの
待ちぼうけ
案山子の腕に
カラスがとまる

泣き濡れ腫らした
目を隠し
耳だけ頼りに
さ迷い歩く

言葉がくれた灯に
私はどうして答えよう
目隠しはずして
良く見れば
記憶違いの町並みに
気がついたのなら答えよう

生まれた町の言葉には
夜も朝も昨日も今日も
明日の事しかありません

だから明日が訪れる
 

 

[明日]
忘れたくもなひやうな
忘れてしまひたひやうな
そんな最後の日が暮れる

強く励まされるやうな
優しく見守られるやうな
そんな最後の日が暮れる

今日までの闇を切り裂き
紅の地平線からいずる
明日からの天神のごとき
大火に成就すべきを語る

あぁ 宵闇の錦心繍口をや

 

 

[謹賀新年]
謹んだ
賀正の朝の
新たなる
年を見つめる
祝杯の民

 

 

[日ノ本]
記憶の片隅
流れ行く血が語る時
日ノ本の和みたるを
忘れんとし
舶来の事物
擦り込まれ行く後の
選択の出来ぬ目に写る
血統の矛盾
よもや渾然一体の意識
極東の島国植民地
耐え難きを耐え
忍び難きを忍びを
限りなきに思えば空虚なり
起源こそが血なれば
血をも喪失せん
極東起源保守

 

 

[羅生門]
通り雨 歪む景色に
自分の顔を映す

凍えそうな身体
肩を摩りおびえた瞳

俺は雨をしのぐ為に
どれだけの仕打ちを
どれだけの狂気を
人格崩壊への道を
味わわなければならなかったか

忍び歩く屋根裏
生死を分ける判断

あの老婆のように
行き倒れた人から
物取るべきか…
物取るべきか…

俺は雨をしのぐ為に
どれだけの試練を
どれだけの恐怖を
人格崩壊への道を
味わわなければならなかったか

断末魔の警笛は
容赦なく理性を狂わせる

通り雨 過ぎ去る頃
目覚めの悪い日常

凍りつき 押し寄せる
後悔に向き合うだけ
勇気があったのならば
踏み止まれたはず

晴れた空が
妙に悲しい

[季節感のない街]
燻らす煙草の草原
紫煙まみれの紅葉で

迫り来る病室の
壁に掛かった鏡を
今ではもう
直視できやしないだろう

嗚呼 鐘が鳴る
渇いたこの田園に
嗚呼 鐘が鳴る
季節感のない町に
鐘が鳴る
宵闇にまた花が咲く
ひかえめな風光明媚
よそ見をしてては気付かない
夜空の風光明媚

雪を知らない子供達
便りの来ない夕暮れの様に

長靴を履いた猫も
トンネルの向こうの雪も
今ではもう
終わりを迎える夢のよう

嗚呼 鐘が鳴る
渇いたこの田園に
嗚呼 鐘が鳴る
季節感のない町に
鐘が鳴る
宵闇にまた花が咲く
ひかえめな風光明媚
よそ見をしてては気付かない
夜空の風光明媚

 

 

[血から成り]
あなたの手に通う
血の流れを
わたしの手に通う
血の流れを
確かめる為に
握手する

沸き上がる
躍動す
揺さ振られる
それほどの血を
感じるから
一定のリズムを
打ちながら…

血から成るを継続す
「継続は血から成り!」

 

 

[春の子]
キイキイキイキイ
揺り篭が
なだめしたため
微笑ませ
さわさわさわさわ
そよ風が
愛でてやさしく
頬撫でる
スヤスヤスヤスヤ
昼下がり
静寂初春に
子は眠る

 

 

[まだら色]
真っ白い紙の上に
誰かの色が置かれて
でも染まりきれない
まだらの色合い
「気色が悪い」と言う人
「不思議な色合い」と言う人
「いかれてる」と言う人
「きれいだね」と言う人
誰もが持ち合わせている「自己流」への評価
それもまた「自己流」なのだ
まだら色で突き進め
まだら色で突き進め
まだら色で突き進め
まだら色で突き進め

 

 

[先生…]
先生…私気がつくと
手に包丁を持っていたのです

半人前のガキどもが
一人前の面してプロパガンダ
一人前に成り切れない
夢を忘れた銭ゲバオヤジ
冗談じゃあねーよ!

先生…私の身の回りに
眼科ばかり増えているのです

詐欺師やペテン師に
成りそこなった奴らのレトリック
そんな奴らが芸能、文学、芸術だってよ
笑わせんじゃあねーよ!

先生…私はお手洗いに
席を立つ時ですら被験者ですか?

テメーらいい加減
たらいの中をグルグル回って
変態行為を露呈してるくせに隠蔽ばっかり
してんじゃねーよ!

(一億総分裂化一億総分裂化一億総分裂化一億総分裂化)

先生…そろそろお腹が空きましたね…

眠ってもよろしいですか?
今日も虹がキレイですねぇ…
 

 

[そっと枯れ葉が落ちるまで…]
立ち上る陽炎
木陰に抱かれて 僕ら
未来の幻影見つめていた

そっと枯れ葉が落ちるまで

従順なる月
薄れゆく影法師 いつか
過ぎ行く記憶残していたい

そっと枯れ葉が落ちるまで

夕暮れを繰り返し
影を失うたびに
薄れゆくあの頃の記憶
あの頃の感触
あの頃の香り
あの頃の気持ち

聖域の森
大人ぶる秘密倶楽部
家族にはない仲間意識

残像のバーチャルリアリティ
記憶のバーチャルリアリティ
そっと枯れ葉が落ちるまで…

 

 

[素直になれない時もある]
冷たい風を感じて
暖かい部屋を恋しく想う
そんな感情かもしれない

灼熱の太陽の下
日蔭にそよぐ風が頬を撫でる
そんな心地良さかもしれない

遠くの君を遠く感じないよう…
遠くの君が遠のくのが恐くて…
素直になれない時もある

硝子に映る自分を眺め
硝子の向こうの君が見えない
そんな苛立ちかもしれない

遠くの君を遠く感じないよう…
遠くの君が遠のくのが恐くて…
素直になれない時もある

素直になれない時もあるのさ…

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